年末の代表選挙を終えて
総選挙の大敗を受けて、野田代表辞任に伴う代表選挙が25日に行われた。
多くの仲間を救うことのできなかった自らの力不足を恥じ入るとともに反省しなければならないと、ここは静観のつもりだった。しかし、海江田氏の立候補表明があり、俄然周囲からの声が高まり、出馬せよ!との強い声をいただくに至って、「覚悟と決意」は持っていると述べてきた自分としては、逃げるわけにはいかない。急きょ立候補を決断、表明し代表選挙に臨んだ。短い選挙期間ではあったが、全力を尽くした。
結果は、90票対54票。敗戦だ。
正直、総選挙の疲れも取れぬ中、更に代表選挙で心身ともにボロボロだ。
しかし選択肢を示すという、一定の役割を果たせたかとは思う。「負け戦」覚悟で臨んだとしても、負けはつらく、悔しいものである。しばらくは、英気を養っていきたい思いだ。
代表選挙の演説全文を下記に示す。長文だが、お許しいただきたい。
「代表選挙演説」
衆議院議員の馬淵澄夫です。
敗戦の焼け野原に呆然と立ちつくす。そのような感慨で、私は総選挙の結果を受け止めました。本当に厳しい国民の審判でした。
しかし立ち止まる訳には参りません。歩みを始めなければなりません。敗戦から立ち直り、失った信頼を取り戻すのに必要なのは、整った環境下での運営力や構想力ではありません。
求められるのは、どんな逆境でもひるまずに、打ちのめされても、叩きのめされても、何度でも這い上がり、立ち上がり、鬼神のように立ち向かう突破力です。
そして、私は、その覚悟と決意をもって臨みます。
この党の復活に向けて、総力を結集して再スタートし、再びこの国に、人の温かさを大切にする政治を実現していきたい。そのことに私は全力を注いでまいります。
私たちは、結党以来、既得権益打破の改革を実行するために消費者・生活者・納税者、働くものの立場から、地道に政策を訴えて参りました。
共に生き、お互いが支えあい、透明で公平で公正なルールの下に正義が貫かれている社会。チルドレンファーストで、さらに高齢者や子どもを産み育てる世代を全体で支える社会。元気な若者を育み、今を生きる大人が責任を持って未来を切り開く社会。
これこそが私たち民主党が目指してきたあるべき姿だと、いまも確信しています。
人を大切にし、国民の暮らしを守り、国民の命を守る。その想いが多くの皆さんに届き、2009年8月、民主党政権が実現いたしました。
しかし3年2カ月余の政権運営には未熟さ稚拙さもありました。結果、厳しい審判が下されました。私たちの心の中に傲慢さがなかったか、私たち自身が深く反省しなければなりません。その上で、失った信頼を回復し、議席を失った有為な人材の復帰を願い、原点に立ち返って一致結束して党の復活を図らねばなりません。私は、多くの落選した仲間のもとにこの選挙でも応援に入りました。その同志の無念さが、選挙区で闘う姿を思い出すたびに、痛いほどに胸に突き刺さってまいります。だからこそ、私たちは政権を経験した国民政党として、再び立ち上がらなければなりません。
まさに党を改める「改党」的出直しが求められています。そして私にはそのことを実行する、覚悟と決意があります。
国会議員の皆さん、そしてそれを見守っておられる先の衆院選候補者、地方議員、党員・サポーター、そして国民の皆さんに対して私は「党復活三カ年計画」をご提示し、ともに実行してまいりたいと願っています。
先の衆院選は、自公が勝利したのではありません。民主の一方的な敗北です。総選挙における比例区の得票数は自公ともに、2005年から連続して減らしています。一方、今回の民主への比例票は962万8千票、2009年に変革を期待した民主比例票2000万票は、第三極へと流れました。さらに小選挙区での政権与党へのペナルティが加わり、大敗となりました。これを教訓として、今一度、党の原点を再確認し、党の理念、基本政策を強固に共有することが必須です。
こうした認識から、まず「党復活三カ年計画」の目標を申し上げます。
衆院で絶対多数を与党が握った以上、最長で任期満了まで政権に復帰する可能性が低いことを覚悟すべきです。また、ねじれ回避を狙った2016年の衆参ダブル選挙の可能性も想定する必要があります。
よって、最長で、2016年に予想される衆・参の両選挙で勝利し、政権を奪還することを、党復活の最大の目標とします。その実現のための「党復活三カ年計画」は、三つの期間を考えます。
第一期は、来年の参院選に向けて、全党一丸、覚悟と決意をもって党勢を立て直す期間です。
第一に、有権者の期待に応えられなかった点を謙虚に認め、3年2か月余の政権運営の「失敗」を徹底的に検証します。その際、外部有識者から厳しい指摘をいただきながら、党のイメージ回復と復活に向け、覚悟と決意と行動力・突破力で取組みを推進します。
第二に、綱領、基本理念は、開かれたプロセスで熟議を重ね、1月の党大会に素案を提示し、全党的議論を重ねて、参院選までに結論を得ます。「綱領なき政党」という言われなき批判を完全に断ち切ります。
第三は、党組織を機能的に刷新し、国会議員を総動員した全党一致の人材配置を行います。特に政策広報やマスコミ、インターネットを含む総合的コミュニケーション戦略を実践します。
第四に、国民の声なき声を代弁する「創造的野党」として国会に臨みます。法案賛否については是々非々対応し、政府与党に堂々と論戦を挑みます。また、衆参両院議員の密接な連携を通じて、党の一体性を維持します。
特に選挙を控えた参議院は主戦場として、与党の暴走と不作為を厳しくチェックし、改革に必要な判断・対案を提示します。また、ねじれ解消等の、具体的な制度改革を提起してまいります。
第五に、参院選マニフェストは、次期総選挙マニフェストの骨格案と位置付け、「コンクリートから人へ」「居場所と出番のある社会」「行き過ぎた自己責任を是正する社会的な仕組み作り」など、理念に基づいた政策を進化させます。またSNSやツイッターなどの情報通信技術による世論形成に努めます。
続く第二期では、2015年統一地方選の勝利に向けて、与党と対峙し、国民的議論をリードします。
国会では、「創造的野党」としての活動と同時に、政権復帰に備えて、古い国会運営を見直し「機能する政治」を実現させる姿をアピールします。
また、国民参加型の政策策定を進めます。参院選マニフェストをたたき台とし、国民参加による開かれた議論を深化させながら、国民的論議をリードし、幅広く声を吸い上げます。国論を二分するような課題や、統治機構改革など長期的な構想の課題は、問題の本質をわかりやすく示し、理解と共感を得ることに注力します。
こうして地方意見の集約と反映、現場での運動実践により、政権復帰の前哨戦たる2015年統一地方選での勝利につなげてまいります。
そして最終フェーズの第三期は、2015から2016年の参院選、衆院選の最終決戦に向けた期間です。
まず、野党との連携も重要だという意識をあらゆる組織・団体と共有して選挙に向けた具体的な活動を行い、支援獲得を図ります。
次期総選挙マニフェストでは、与党の実績を厳しく総括し、本格的な対案を提示します。政策インデックスは、与党が顧みない小さな声をすくいあげるツールとして復活させます。
また「政治主導の実現」に対する反省と教訓をふまえた政権運営プランを提示し、先の政権運営の失敗を克服し、官僚機構を使いこなす地に足着いた力をアピールします。
そして、衆院解散の時期をにらんで、優れた候補者の擁立を進めます。他の野党との選挙協力は、政権奪還の方向性が一致する限りにおいて積極的に行います。
以上の「党復活三カ年計画」を私は実行してまいります。
党復活に向けて、皆さんにお願いを申しあげます。
「民主党は一度死んだ。しかしその魂は失われず、生まれ変わり、復活を果たした。そして政権奪回に向けた再挑戦の資格を得た」と、国民の皆さんに認めて頂かなければなりません。私たちは、政治の停滞と決別し、政権選択の選択肢を堂々と示す「創造的野党」にならねばなりません。そして「明日の与党」となることで、今と未来への責任を果たさなければなりません。真に日本と国民のためになる政治を実現しなければなりません。国民の「希望」を取り戻すのです。
どんなことがあっても、あきらめずに前に進むのが、代表の使命です。そして、全党一丸となった努力によってそれは可能になります。
私、馬淵澄夫はその先頭に立たせて頂く覚悟と決意があります。
どうか皆様、私、馬淵澄夫にお力を頂きますようよろしくお願い致します。
以上
10分間の演説だったのだが、万感を込めた。またしても、悔しい想いをした。
しかし、馬淵澄夫の挑戦は、まだまだ終わらない。