安保の集中質疑

2008年2月27日 (水) ─

 予算の現場は、採決目指して与党が強行に日程を入れてくる。水、木の分科会設置が理事会で決裂後、与党は押し込んできた。

 民主党は、認められないとして予算委での「道路」と「イージス艦」問題の集中審議を求め更なる議論が必要とした。予断は許さないが、与党の月内の強行採決の姿勢は固そうだ。

 昨日は予算委を抜けて安保委で「防衛省改革についての集中質疑」。

 省改革論議も重要だが、イージス艦と漁船との衝突問題については最も国民の関心が高い。当然質疑する必要がある。重ねて新聞で石破大臣が衝突12分前に乗組員が視認している報告を受けながらも、公には2分前に視認と発表していることについて「隠蔽」との指摘がなされた。

 これは一昨日の予算委員会での笠委員の質疑を受けて、昨日の未明に急遽防衛省で発表したことを受けての報道。

 渡部周筆頭理事に続いて、このことについて矛盾を指摘した。

 先週の安保委での渡辺周筆頭理事の質問に対して石破大臣は省に対しては「これも調査中、あれも調査中と言うのはやめろと私は申し上げました」と答え、そして「まだ確認中ですがという注釈をつけた上で出せるものは出したい」と情報開示に対して前向きな姿勢を示していた。にも関わらず自身が情報開示を遅らせていたとするとこれは問題だ。

 僕自身、「進退」については政治家自らが決するものとの考えは一貫しているので、このことについて大臣の進退に言及するつもりはない。しかし「確認すべきは確認」である。

 しかし大臣は、僕の前の質疑で答弁を変えだした。「注釈つきで出せるものは出す」としていたのを、「不正確なもの」、「出してはいけないもの」については慎重でなければならないと言い出した。その上で、大臣が知りえていた「12分前の視認」は「不確かな情報」だと答弁した。22日の質疑と照らし合わせると、大臣は不確かでも出すと言っていたのだから、この場合は「出してはいけないモノ」ということになる。

 このことを石破大臣に問うと、その両方だとの答弁が返ってきた。完全に答弁が変わっているではないか?。指摘すると、そうだと答える。おそらく、大臣は未明の発表で「12分前に視認」の事実を知っていたのがバレたので、答弁を変えてきたわけである。

 言い換えれば、この「12分前に視認」という事実には「出してはいけない」ファクト、また新たな事実が隠されているかもしれないとの証左とも思える。

 石破大臣は、答弁を変え何かを隠しているように見えて仕方がない。もちろん、防衛省改革に対しては並々ならぬ意気込みを持って臨んでおられるのは理解しているつもりだが、それでもなかなかに大変な組織なのだろう。

 幕僚組織の制服組と内局と呼ばれる背広組の軋轢(あつれき)が根本にある。そして民主主義国家の源泉となる文民統制(シビリアンコントロール)がいつの間にか背広組(文官)による制服組(武官)の支配に置き換わってしまっている。政治家(文民)が脇に置かれ、キャリア官僚(文官)が支配し都合の悪いことは隠蔽し、情報操作し、さらに自らの立場を守るための税金の無駄遣いを行ってきた厚労省、あるいは国交省などの槍玉にあがっている官僚組織の腐敗とまったく一致してしまうのではないか。

 こんな危惧を持ちながら、文官統制の象徴的な役職である「防衛参事官」の問題についても指摘した。

 いずれにしても、実務に精通していると言われる石破大臣をもってしてもなかなかに改革が進まない現状を見るにつけ、この国の国防の脆弱さを感じずにはいられない。

 それこそ、制服組の防衛参事官など枢要な立場への任命、さらには政治任用などを徹底して進めなければならないと思う。この点は、僕は石破大臣と意見の一致するところなのだけれど、冬柴さんと同様、石破さんも官僚に何も聞かされてないのか…?

 イージス艦の問題はこのままでは終わりそうにない。省改革も含め、予算委が終われば安保委でガンガンやる。

安保の集中質疑