守拙(しゅせつ)

2009年2月11日 (水) ─

 久しぶりに、薬師寺の大谷徹奘(てつじょう)師と会食。

 いつも不思議と苦しい時、落ち込んだりした時にポンと電話してきてくれて「ゴハン食べ、行こ!」と誘ってくれる。

 前なんか、枕元に阿弥陀さんが出てきてまぶちさんにこれ渡せって言われたと、腕にお数珠かけられた。外せんわな。

 でも、政治の話などもちろんしないし、何を話すでもなくなんだけど、スーッと心が落ち着いてくるのが分かる。そして、その時々に徹奘師が最も大事にしている言葉を一語いただいて帰る。

 昨晩は、名刺大のカードに「守拙(しゅせつ)」と書いて渡してくれた。

 世間の人や言葉を無視することなく、自分の覚悟を貫く。拙(つたな)さを守るとは、かたくなに世間に背を向けたり、まわりを無視したりするのではなく、自分のやり方に集中する生真面目さをいう。

 今、まぶちさんに送る言葉、としてスラスラと筆で書いてくれた。

「才子群中只守拙」

 夏目漱石の記した一節だそうである。まわりはキラ星のごとく才能と魅力にあふれているのに、自分ひとり鈍くて冴えない。ときにそう思えて落ち込むことがあっても、自分は自分、正しいと信じたことを一心に努めるしかない。

 いただいたカードを大事に胸にしまい、徹奘師と別れた。

 守拙。

 拙い自分は、まだまだ回りに迷惑かけたり、期待に応えられなかったりするかもしれないけど、「覚悟」を貫きたい。

守拙(しゅせつ)