スパークインフォメーション

2009年4月9日 (木) ─

 北朝鮮からの飛翔体(?)、ミサイルについての報告が防衛大臣から安保委員会でなされる。その中で、4月4日の誤報についてのお詫びも最後にチョロっと触れられた。

 極度の緊張感が強いられる中で、大臣の言うところの「ヒューマンエラー」が発生したことは理解できなくもない。しかし、ニューマンエラーだからという一点で事実の確認がなされていないことに疑問を感じて質疑に立った。

 4月4日、どういう情報の流れがあったのか。府中にある「航空総体司令部」に「部隊から」「飯岡探知」と「スパークインフォメーション」の二つの情報が入る。

 この部隊とは、飯岡の通称ガメラレーダー基地からである。つまりガメラレーダーに何らかの反応が「探知」された。さらにもう一つ、「スパークインフォメーション」との情報がこの部隊から航空総体司令部に入る。都合二つの情報が発せられた。12時16分のことである。

 そしてこのときに、航空総体司令部の担当官がなぜか、「スパークインフォメーション」を「SEW入感」と間違えて発することになる。

 SEW入感とは、衛星からの早期警戒監視情報である。これらの情報は、航空総体司令部から市谷の防衛省に設置されている「中央指揮所」に伝達される。「飯岡探知」と「SEW入感」の二つの情報は、ガメラレーダーと衛星探知という二つのシステムによって得られるものでありその確度と信頼性により、「発射情報」と解されることになる。

 中央指揮所での「飯岡探知」、「SEW入感」の繰り返しのアナウンスは官邸内のオペレーションルームでも「音声」を同時にモニターしているため、これをもって運用企画局の管理職クラスが「発射」とコールし、危機管理センターにも「発射」情報が寄せられることになった。

 浜田大臣がヒューマンエラーと称したのは、この航空総体司令部でのスパークインフォメーションをSEW入感と発したことが一つ。もう一つは、中央指揮所にてSEW入感の確認を怠ったことが
一つ。さらに、官邸オペレーションルームでの「発射」コールについても問題がないかは調査中とのことであった。

 ホントに、単なる言い間違いなのか、もっと本質的な過ちはないのか。

 僕の質疑は、ここまでだったが事実関係は浮かび上がらせた。続いて、盟友の長島代議士がさらに突っ込んだ。

 では、なぜ「スパークインフォメーション」を「SEW入感」と取り違えたのか。これには重要な発言が運用企画局長からあった。「スパークインフォメーション」とは航空自衛隊においては弾道ミサイル探知の用語として一般に用いられているというのである。

 部隊が何をもって「スパークインフォメーション」と発したかはわからない。しかし、少なくとも航空総体司令部は空自の一般用語として用いられている「弾道ミサイル探知」のシグナルである「スパークインフォメーション」を聞いて、今回の情報伝達で確認されていた「SEW入感」と発してしまったのかもしれない。

 確かにそうだとするとヒューマンエラーともいえるかもしれないが、「弾道ミサイル発射」の意となる用語が複数ある状態を認識していないとすると、ヒューマンというよりもむしろシステムの整備の問題でもある。

 細かな話ではあるが、有事の際の極めて重要な情報伝達の仕組みが脆弱であることが露呈したことになる。自衛隊の活動そのものにはいつも敬意を表しているが、システムのひ弱さは際立っているような気がする。

 なじみの記者さんが廊下で「スパークインフォメーションはチョット僕の中で今日一日頭から離れませんよ~」と言っていた。

 防衛省の皆さんも、頭から離れずに考えてください。

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