第1156号 13.9兆円、何に使う?

2024年12月7日 (土) ─

政府は総額13.9兆円の補正予算案をまとめ、9日から国会審議が始まる見込みです。

 

◆額ありきの補正予算

例年、時の政権はこの時期になると本予算で不足していた予算を補うため、新たに追加で予算を編成してきました。

本来、補正予算の趣旨は、災害やコロナ禍など、本予算作成後に生じた事由に基づき特に緊急的に必要となった経費支出の確保にあり、いわば例外です。しかし、いつしか惰性で政権の人気取りのための年末恒例ばら撒きに陥り、内容の精査も無しに額だけが膨らんできたのです。

石破政権となってもそれは変わらず、岸田政権時の内容をほぼ踏襲する形で、13.9兆円の支出をともなう補正予算案が閣議決定されました。真に必要ならば赤字を厭わず支出を断行すべきですが、特定の業界への1.5兆円に上る巨額の支援金など、緊急性を疑われる事業が多いことも事実です。

 

◆真に緊急に必要な予算とは

今、緊急的に必要な予算は、能登半島復興と物価高に対応する家計支援です。

能登半島ではいまだ損壊した家屋がそのまま残されている地域や、水道管が十分に復旧していない地域があります。本格的な冬が到来する中、集中的に予算を確保して一気に復興を進めなければならず、まさに特に緊急的に必要な経費です。

また、年末の物入りの時期を迎える中で、ガソリン減税など、直接家計を温める政策もまた緊急的に必要です。

立憲民主党は、総額7.4兆円の緊急経済対策をまとめ、政府案に対抗しています。

一見、少ない額のように見えますが、内容は、能登半島復興のための「被災者生活再建支援金」の実質倍増、家屋の公費解体等の準半壊・一部損壊への対象拡大など、実効性を伴う支援となっています。また、公立小中学校の給食費無償化の先行実施など、家計を直接温める予算の使い方を重視しています。

どこまで与党が譲歩するかは未知数ですが、総選挙前のように野党案には見向きもしないという状況でありません。出来る限りわれわれの主張が取り入れられて、政策を実現させる方向での国会活動が党として責任を果たすことだと考えています。

 

◆立民に求められる政策

立憲民主党はこれまで、経済政策に関しては、具体論に欠け、いったい何をしたいのかが分からないという批判を頂いてきました。

 

今後さらに多くの支持を集めて政権を奪取するためには、経済政策の柱を立てなければならず、短期的政策と長期的政策を分けて、双方から具体的提案をしていくことが必要だと考えています。

短期的政策は、「当面の国民生活を支えること」です。物価高対策としての現金給付や、ガソリン減税、食料品に対する消費税減税などがこれにあたります。

長期的政策は、「目指すべき社会像に沿った税と経済構造の造り替え」です。大衆増税による負担から、資産や所得が多い企業や富裕層にその能力に応じた負担をお願いする税構造への転換や、下請けいじめの監視強化と是正、派遣労働者の低待遇改善などがこれにあたります。

党内では、私を部門長とする経済財政部門会議が立ち上がり、成長実現と再分配についての勉強会を来週から始めます。

この場では、強き者だけがますます富み、多くの庶民は放置されるというアメリカ型新自由主義に代わる社会像を示し、具体論としての税や社会保障のあり方を作り上げなければならないと考えています。来春をめどに、党としての政策のパッケージとして集約し、来夏の参院選で国民の判断を受けたいと思います。

 

 

スタッフ日記「『果てしない大空』と買収の議論」

兵庫県知事選挙をめぐっての騒動が長引いています。

公選法違反、と騒がれるきっかけとなったPR会社社長を巡っては、斎藤知事本人が「ボランティアで手伝ってもらっただけ」と発言し、疑惑を払拭しようとしましたが、鎮火には至っていません。

先日の斎藤知事と弁護士の会見を聞いて頭に浮かんだのは、歌手の松山千春さんの事です。

松山さんは政界に顔が広く、過去、複数の政治家の選挙応援で街頭演説などに立っているのですが、その時にかなりの頻度で、代名詞である「果て~しない~大空と~」でおなじみの名曲「大空と大地の間に」を披露しています。

そして毎回物議をかもすのです。「歌手として、普段は有償で歌を聞かせているのに、それを街頭演説中に無償で有権者に披露したら有権者買収になるのではないか?」と。

今回のPR会社はSNS戦略などが主な業務のようなので、普段有償で行っていることを無償で行った、という点が共通しています。今回は相手が有権者ではなく、候補者なので、ボランティアであっても候補者に対する寄付、ということにならないのかな?と思いながら事の推移を見ています。

この問題を巡っては、「公選法が難解だ」という声も出ていますが、ざっくりシンプルにまとめると

○投票を呼びかける行為は(ウグイス嬢以外)お金を払ってはダメ

○投票を呼びかけない、事務作業などの行為はアルバイトでもOK

こんな感じで認識して頂ければと思います。

ちなみにSNSの投稿は投票を呼びかける行為、と考えられることが多いです。(シズ)

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