第1160号 2025年政治はどう動く

2025年1月11日 (土) ─

2025年通常国会は1月24日の招集が見込まれています。今年は夏に参院選と東京都議会選が、奈良市でも市長選や市議会選が予定されており、昨年に続き選挙イヤーとなります。夏の陣に向けて政治はどのように動いていくのかを分析します。

 

◆与党内の不満が蓄積

昨秋の総選挙を経て国政は激変しました。今まで見向きもされなかった野党の要求が、実際の予算や法案に反映されるようになったのです。例えば昨年末の政治改革法案では、自民党がそれまで渋っていた政策活動費の完全廃止を土壇場で受け入れましたし、補正予算の修正で能登半島復興費用の上積みも実現しました。

熟議の上、妥当な解決に至る国会のあるべき姿が取り戻されつつあるのは総選挙の大きな成果であり、立民としては、来年度本予算案に対する修正を目指す方針です。

しかし、数十年にもわたり好き放題に政策を通してきた政治手法が通用しなくなった自民党内部には不満が蓄積されており、それが夏の衆参ダブル選挙強行論にもつながっています。

 

◆大連立はあり得るか

そんな中、石破総理は年始に突如として野党との大連立も選択肢としてあると発言しました。反響の大きさに驚いたのかその後の会見では否定しましたが、野党のみならず、自民党内への批判勢力への牽制の意味があったと思われます。

石破総理の本心は図りかねますが、政治改革を与野党共同でやり抜くためという大義名分を掲げることでの連立の持ちかけは十分想定されます。その場合、小選挙区のままでは与野党二大政党の大連立は困難なため、総理の持論である中選挙区連記制の導入など、大連立の大義となる選挙制度改革をぶち上げて、通常国会での企業団体献金禁止などの議論を煙に巻くことも考えられます。

大連立が持ちかけられた場合、野党の中にも政権運営に関われるということで魅力を感じた議員が最終的に自民党に取り込まれるということもあり得ます。また一方で、不満を持ったグループが離脱して、最終的には与野党共に分裂する可能性もゼロではありません。

何より、ようやく政党間の熟議により政策が形成される緊張感のある国会の姿となりつつあるのが、大連立により雲散霧消してしまう可能性すらあります。大連立の議論は、危険をはらんでいます。

 

◆衆参ダブル選はあるのか

参院選について、1月24日に通常国会が招集された場合、会期は150日間で、法令の定め上、投票日は7月20日となりますが、三連休半ばの日曜日の投票日設定は、一般的には避けられます。 よって、与党としては、会期を若干延長して、7月27日に参院選挙を行うことを画策していると見ています。石破総理は衆参ダブル選挙も否定はしていませんが、野党への牽制だと考えられます。

一方もう一つの政局ファクターは東京都議会選挙です。都議選は4年ごとに夏に行われていますが、衆院選と奇妙な連動を示しています。2009年には都議選で民主党が第1党に躍進し、秋の政権交代選挙へとつなげました。

2017年には都民ファーストブームの都議選からの流れで秋に総選挙が実施され、民進党が分裂して与党が圧勝しました。 2021年にも同じく都議選後に解散総選挙が実施されています。近年、有権者の1割を占める東京の選挙が政局に影響を与える傾向が強まっており、2025年も都議会選挙の結果如何により参院選の行く末も変わります。

政局の読みが政治家として、最も問われる夏となります。

第1160号 2025年政治はどう動く