第1166号 皇族の妻と夫の関係は?
皇位継承の議論にも関連する「皇族数の確保」を主に議論する全党・全会派出席の会議が再開されました。17日、私も野田佳彦代表らとともに衆議院議長公邸での会議に臨み、立憲民主党としての意見を述べました。
◆今、話し合われていること
17日の会議で中心的論点になったのは、女性皇族が婚姻した場合、その夫と子に皇族としての地位を付与するかです。
現在、女性皇族は婚姻した場合、皇族を離脱し、一般人として家庭を持って生涯を過ごすことになります。しかし、皇族が徐々に減少する中、次世代の男性皇族は悠仁様お一人であり、今後の皇室活動の継続を考えると、皇族数を確保する必要があります。そこで、女性皇族が婚姻後も皇室に残る制度を創ろうという議論が進められ、これについてはほぼ全党全会派の中で共通理解が得られています。
各党の意見が違っているのが、その際の夫と子の地位です。政府の示している案では、女性皇族と婚姻した夫は一般国民のままで、産まれた子も一般国民として扱うことが考えられるとしています。一方、夫と子を皇族とする案はそれ自体が示されていません。
◆大きな不都合
立憲民主党の立場は、まずこれら2つの案を議論の俎上に乗せ、フラットに比較し、メリット・デメリットを議論し尽くした上で、国会としての適切な結論を得ようというものです。夫と子を皇族としない案も俎上に載せて議論することを否定してはいませんが、一家を成す家族の身分が皇族と一般国民に分かれるのは、家族の形としてどう考えても不自然と考えます。また、男性皇族と婚姻した一般女性は皇族となるのに、なぜ男性は一般国民のままなのかという疑問も生じます。
家族の現実の生活にも不都合が生じます。夫が一般国民のままなら、妻に支払われる皇族費をどこまで生活に使えるのか、相続はどうなるのか、住むところはどうするのか、子の氏をどうするのかといった様々な問題が生じてきます。
また、仮に夫や子が政党や営利企業を創って皇族の家族としての地位を利用した活動を始めても、一般国民である以上、それを止めることはできません。結局、夫や子の活動が女性皇族としての地位を揺るがすような事態になることも否定はできないのです。
これに対し、先例を重視して夫や子は皇族とすべきではないという意見や、夫を皇族としない方が婚姻へのハードルを下げるという意見が出ましたが、後者については、一般人のままなら、メディアやSNSによる執拗なバッシングが繰り返されるおそれもあり、本当に婚姻のハードルを下げるかには疑問があります。
◆国民の意思に沿った皇室に
憲法上は、24条が、法律は両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないとしています。内閣法制局は、皇族との婚姻の場合は憲法上の例外であって、夫と妻の身分や権利が分かれても問題は生じない旨述べていますが、結果として皇族と婚姻する一般国民の権利を制約してしまうことになりかねず、さらに詳細な議論が必要です。
もう一点の懸念は、国民がこの議論から置き去りにされてしまっているのではないかということです。憲法1条で、天皇の地位は主権の存する日本国民の総意に基くと規定されています。皇室も天皇と一体です。国民の意思から離れたところに皇室は存在しえないということを心に留めて、国民の意思に沿った制度とすべく、さらにこれからの全体会議で議論を進めて参ります。