200年住宅法案

2008年11月20日 (木) ─

 国土交通委員会での質疑。長期優良住宅促進法案。いわゆる、200年住宅。だいたい、200年って長すぎない...?

 実は建物寿命は、おおよそわが国では30年とされている。欧米諸国のそれは数十年から100年にまで及ぶものもあり、日本の建物が「短命」だとして長期間使える、住まいできる建物を作ることを推進しようとする法律。

 趣旨は正しい。短命の、安かろう悪かろうの建物はいけない。

 しかし、どうもやろうとしていることがまたもやアノ、耐震偽装後の建築基準法改正と同様に怪しいのである。国交省が、また何ともいかがわしい動きをしている。うーん、大手ハウスメーカーの意図ありや?

 そもそも、建物の「寿命」と称しているのは、建てた後取り壊されるまでの平均年数のこと。「滅失住宅の平均築後年数」と呼ぶ。これは、実はさまざまな要因によって起きている。

 まずは、住宅の固定資産評価としての低さ。

 かつて大蔵省令で定められた、会計上の減価償却資産の耐用年数の規定により建物は築後20~25年で資産価値がゼロになってしまうことにその原因の一つがある。土地本位制の日本では、家を買う、建てるとは、実は土地を買うという意味でしかない。おのずと30年もすると、改修より建て替えを選択することになる。

 さらには税制上の問題もある。相続税によって、土地分割をせざるを得なくなり取り壊しが生じることもある。

 また、今年度建築学会賞を受賞された早稲田大学の小松教授の研究論文にもあるが、今現在でも日本の建物の寿命は40年と言われている。決して材料(木材やコンクリート)の劣化が寿命を決めるものではないことは、統計学的調査からも明らかである。

 にもかかわらず、国交省は飽きもせず相変わらずの滅失住宅の築後年数を盾に「構造躯体の耐久性向上」などの措置を設定して「長期使用化」スペックのハードルをあげようとしているのである。

 またもや、中小工務店が悲鳴を上げるのが目に見える。大手ハウスメーカーにおもねった姿勢に、厳しい監視を向けなければならない。

 残念ながら、国土交通部門では修正のうえ賛成という立場のようだ。

 僕としては、もっとガンガンに審議してでたらめな部分は削除、あるいは廃案も視野にとも思うが国交部門の皆さんの意見は賛成で占めていた。部外の人間としては、質問させてもらえるだけでもありがたいと思わねばならないと気持ちを切り替える。

 しかし、国交省はきりがないなぁ。国交部門に戻ったら、思いっきりやる。

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