160日目の逮捕

2006年4月26日 (水) ─

 ついに、耐震偽装事件で逮捕者が出た。

 昨年の11月17日の耐震偽装発覚後160日目にての事件のひとつの区切りでもある。多くのマスコミから取材が殺到するが、逮捕者が出ることは既に織り込み済みでもある。ある意味、伝えなければならないのは、「これで終わりではない!」という一点だ。

 逮捕者は、偽装の直接行為者である姉歯元建築士、木村建設の木村社長、篠塚東京支店長、イーホームズの藤田社長ら8名となった。それぞれ、名義貸し、粉飾決算、架空増資などの容疑での逮捕だが、警視庁はこれを突破口に詐欺容疑の立件に全力を傾けるという。

 確かに、ひとつの区切りでもあるのだがまだまだ実は事件は終わりはしない。それは、詐欺の立件ということだけではない。このような事件を引き起こしてしまう制度の欠陥、ならびに無理を強いる業界の多層下請け構造など、出さねばならない膿は相当にあるのだ。

 とりわけ再三指摘してきたのだが、平成10年の建築基準法改正の議論の時に、制度の抜本的改正を行わねばならない立場にいる建設省ならびに与党の議員たちの不作為の責は重い。制度の欠陥により、このような状況が起きることを予見すべき立場にいるものが、当時でも野党からの指摘があったにもかかわらずに強引に進めてきたという経緯は極めて重大な問題でもある。

 逮捕者に罪を償わせることで、決して終わりではないのである。

 実効性のまったくない、被害者住民救済措置もさすがに与党内でも疑問が上がっているようだ。自民党の対策本部メンバーもエレベーターに乗り合わせた時に、「このままじゃ、いかんな。」と言及されていた。わかっているのなら、早々に対応議論をしようじゃないか!?。

 この展開と時を同じくして、国会でも建築基準法改正審議が始まろうとしている。対案の提出も明日、可能となった。

 160日目の逮捕は、新たな展開のゴングでもある。

160日目の逮捕