道路問題集中審議に臨んで

2008年2月22日 (金) ─

 総理出席テレビ入りの集中審議が終わった。

 45分の時間を使って、先週2回の質疑のあさらいと新たな指摘。前半は20分で折り返して残り25分で新たな指摘を丁寧に行うつもりだった。

 中期計画の前提となっている将来交通需要推計が、まだまだ増えていくという古いデータを使っていることの指摘と、直近で中期計画策定の8ヶ月前(19年3月)に新たな推計が存在することの指摘は先週の12日に行ったもの。その後の金曜日の質疑で冬柴大臣の反論もすべて打ち返したので、それも触れてテレビの視聴者に改めて訴える、との構図。

 しかし、冬柴大臣の答弁が要を得ないのと、平井副大臣の聞いていないことまで答えるという例によっての時間稼ぎ作戦で5分が超過。

 後半の、重要な新たな指摘の部分に充てる時間が5分ロス。ちょっと、予定が狂ってしまった。

 今回の質疑での論点は一点。計画に示されている高規格幹線道路(多くはB/C>1.2)でさえ1を割るものが出るのではないか?、である。

 つまり、道路整備ができない(国交省の要領ではB/C<1では工事は不可)ものが、多数あるのではないか、計画を即座に見直さなければならないのではないか?ということである。

 今までの質疑で、19年3月に上げられた報告書で最新の交通センサスを用いた需要推計は今の中期計画に使用された需要推計を2030年値で8.7%下回っていることを指摘した。冬柴大臣は、これを「途中段階」のものとしてこの結果を認めようとしない。

 しかし、僕はもう一つ重大なポイントを様々な報告書から見つけた。それは、中期計画での高規格幹線道路の費用便益分析の計算が、「実際に事業評価を行うときの便益計算」と違う方法を採っているということである。

 簡単である。費用便益計算(B/C)が大きく出るように計算しているのである。

 なんのことはない。冬柴大臣が、新たな推計値を突きつけても呪文のように7回も繰り返した「ビーバイシーが1.2以上でやっている、アローアンスがある」というのは、こうした特殊な方法で計算値を高く出しているから需要推計が下がっても大丈夫、というロジックが根底にあったわけだ。

 弁護士出身の冬柴大臣のお考えではないだろう。こんな技術的な話は、局あって省なし、省あって国なしの道路局の「道路官僚」の入れ知恵に違いない。

 そこで、また、別の報告書にあがっている需要推計値の変動による便益の影響度を計るシミュレーションを発見し、これを援用して試算を行った。

 19年3月推計値を用いて、国交省の報告書にあるシミュレーション方法に則ってかつ中期計画で行っているような恣意的操作(高めの数値が出るような固定値を用いる方法)を取り外して計算をすると、なんと最大で38.2%も便益が下落するという結果が出た。

 つまり、最新のデータできちんと計算すると、B/Cが1.6のものでも1.0を切ることになる。「1.2でアローアンス」なんて、吹っ飛ぶ。

 そして、中期計画に載っている187路線のうちの実に68路線がそれに該当するのである。三分の一が、事業不可となる可能性だってある。

 これで、いいのか!?、すぐに計画を見直せ!、というのが僕の主張だったのである。

 うまく伝わったか?、技術的な話もあるので、ちゃんとお茶の間にわかりやすく伝えられたか?。ちょっと時間配分が狂った、という部分はあるのだが席に戻っての予算委員の皆さんからはお褒めをいただいたが…。

 前半のおさらいはもっと短くても良かったな、という反省はあるが、とにかく予算策定の前提となっている本質論を堂々議論の俎上に載せ、問題点を指摘し政治のリーダーシップで方針転換せよ、という主張はまさに予算委員会の使命と思っている。3回の質疑で、ある程度示せたとは思っている。

 これで、金曜日は公聴会、来週月曜日の一般質疑は予算委員外のメンバー、火曜日が社会保障の集中審議というところまでは日程が決まっている。与党は水、木の1.5日で分科会、そして締めくくり総括質疑、採決を言ってくるだろうから、一般質疑で出番が回ってくるかどうかは微妙なところ。

 もう一回、何とかやらせてもらえれば、ここまでの議論を踏まえた実例としての道路公団民営化後の問題についてたっぷりやりたいと思っている。

 さすがに、集中力を持続させるのにへとへとになってきた。集中審議の前日は国会スタッフ全員徹夜で臨んだ。

 昨晩は、それこそ泥のように眠ったので報道を見ていない。正直、集中審議の成果もわかっていない。

道路問題集中審議に臨んで