補選を振り返って

2014年4月29日 (火) ─

 補欠選挙が終わった。

 27日午後8時45分、投開票結果を受けての記者会見を終えて、帰路についた。さすがに気力体力使い果たした気分だった。

 結果は、打越明司候補が約2万票差で自民党公認の金子万寿夫候補に惜敗した。打越候補そして後援会や民主、維新、結い、生活の4党合わせて、力の限り闘った。昨年の徳洲会事件が発覚した9月より鹿児島に通い詰め、準備を重ねてきたが、厳しい結果となったことをあらためて重く受け止めなければならない。

◆九州本土では勝利したが
 衆院鹿児島2区は、九州本土(鹿児島市南部、指宿市、南九州市の一部)と奄美群島(奄美市、大島郡)から成る選挙区。投票結果を分析すると、全体では2万票差で負けたものの、九州本土の3市では、逆に、打越氏が金子氏に1万票以上の差をつけて勝利している。

 奄美群島は自民党が強固な地盤を有し、かつ、金子氏は奄美大島出身という状況を踏まえ、今回の選挙戦においては、島での負けを最小限におさえ、本土、特に、無党派層の多い都市部でどれだけ勝つかを念頭において選挙戦略を立ててきた。自ら現場に張りつき、陣頭指揮をとることはもちろん、事務所総出のスタッフ11人を現地に入れ、鹿児島市内の住宅地を中心に、連日、票の掘り起しに努めてきた。

 九州本土3市全てで勝利し、1万票以上の差をつけたことは、この戦略が間違っていなかったことを意味する。また、共同通信の出口調査によれば、打越氏が、「支持政党なし」の無党派層の55.7%の支持を受け、無党派層からも一定の支持を得ることができた。

 しかし、「政治とカネ」の問題は、自民党への不信という形だけではなく、「政治不信」という形で、投票率に大きく影響した。今回の投票率は、2012年衆院選の60.55%を14ポイント以上も下回る過去最低の45.99%となり、特に都市部では、鹿児島市の投票率32.79%をはじめ、極めて低い投票率となった。

 一方、自民党が強い奄美群島では、奄美市54.16%、大島郡66.84%の投票率となり、結果、島での負けを、都市部の票で挽回することができなかったのが敗因となった。僕も幾度となく島に入り、組織の切り崩しにも動いたが、結果を覆すには至らなかった。

◆政権への信任ではない
 今回の選挙結果を受けて、安倍首相は、「進めてきた政策に一定の評価をいただいたと思う」と述べたが、九州本土、特に都市部での結果や低い投票率を見れば、今回の結果が政権への信任を意味しないことは明らかだ。街でも社会保障や右傾化する政権への不安の声を数多く耳にした。

 選挙期間中、自民党は、地域経済活性化やインフラ整備などを中心に訴え、TPPや憲法解釈変更等の争点化を避けた。与党幹部からも「安全保障がストレートに評価されたということではない」との声が出ている。

 また、TPPについても、選挙終盤に行われた日米首脳会談の共同声明において、砂糖や豚の生産が盛んな選挙区事情に配慮して、実質的な基本合意に達していたにもかかわらず、「前進する道筋を特定した」にととどめ、「大筋合意」との表現を見送ったと言われている。

 厳しい結果となったが、自民党地盤での選挙戦略や、野党間連携等、幾つかの収穫もある選挙戦だった。闘いは組織を一体化させる方法の一つであることは間違いない。

 しかしそれは、結果が伴って初めて実感できるものでもある。

 この結果を真摯に受け止めつつ、今後、安倍カラーが強まるであろう政権に対して厳しく対峙していきたい。

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