終わらない耐震偽装問題

2006年3月29日 (水) ─

 よく、「なぜ耐震偽装問題は終わってしまったのですか?」と尋ねられる。

 決して終わってはいない。建築基準法の改正論議もこれからだし与党案に対しての民主党案の詰めも行っている。「長妻試案」の骨格はできており、抜本改革を行っていく強い決意を持っており、また被害者救済策においては実効を上げていくことも必要だと思っている。このままでお茶を濁させはしない。

 事実、予算委員会が終わった後も国交委では一般質疑で非姉歯物件や救済策を取り上げて、私自身、二度の質疑をしている。これからも、取り組んでいくし全く終わっていない。

 などとお答えをしているのだが、昨日、姉歯元建築士の奥さんの自殺が報じられた。

 痛ましい...。心が痛む。

 森田建築士に次いで、二人目の犠牲者である。もちろん、偽装にあった物件の住民やオーナー方々も被害者であり犠牲者であるが、直接的に関係者で亡くなられたのは二人目。

 昨年の12月14日の証人喚問の席で、姉歯元建築士が「弱い自分がいた」と語ったその時に、入退院を繰りえしていた奥さんのことを語っていた。

 姉歯元建築士は連絡が取れず、息子さんが確認されたそうだ。状況を察すると、本当につらくなる。家族は何の責任もないのに、どれほど苦しい心もちだろうか。

 当局の捜査は12月20日より開始されたがいまだ、進展は表立っては見られない。

 かねてより指摘をしてきたことなのだが、川上から川下へと力の強いものが弱いものへと責任を転嫁していくことにより最後は何の過失も責任もないものが、知らずのうちに背負わされてしまってはいないか!?。

 私はたびたび、制度の欠陥を指摘してきた。

 この訃報に接し、あらためてこの事件の全容解明の必要性を感じ、さらには本質的欠陥をはらんでいる建築基準法等の早期改正と、それを今日まで放置しかつ8年前に改正立法に関わってきた所管関係者ならびに当時の政府与党に対して厳しく責任を問うものである。

 耐震偽装問題は終わっていない。終わらせてはいけない。

終わらない耐震偽装問題