滝田夫妻

2006年5月10日 (水) ─

 薬師寺の村上太胤(たいいん)執事長のお引き合わせで、俳優の滝田栄さんとお知り合いになったのは一ヶ月ほど前のこと。

 NHKの「草燃える」、朝の連ドラ「なっちゃんの写真館」で一躍メジャーデビューを果たされ、テレビ、映画、舞台にと幅広く活躍されている滝田さんのお会いした印象は、「俳優さん」というよりも「僧侶」のような、という表現がぴったりの、物静かで落ち着いた雰囲気の方というものだった。

 そんな滝田さんが奥様と奈良に滞在されていて、是非もう一度私と会いたいとおっしゃっているので、一緒に夕食でもいかがですか?、と村上執事長から直接お誘いの連絡をいただく。

 いやいや、光栄です。

 と、いうことで村上執事長ご夫妻、滝田ご夫妻とご一緒することになる。

 滝田夫人も、元プリマのバレリーナ。ご夫妻の間には、大学生のお嬢さんがおられるそうだが、ご夫妻共に本当に若々しい。

 さすが、人に見られる仕事をされているってのは違うなー!、と感心。滝田夫人が、私のファンだと言ってくださり、たいそう恐縮する。

 滝田ご夫妻と、村上執事長ご夫妻と共に、今日までの修行のお話などを伺い、大変盛り上がる。滝田さんは舞台「レ・ミゼラブル」の主演ジャン・バルジャンを初演以来16年間つとめられた後、楽日の翌日にインドへ旅立った、というのを聞き、やはり本当の僧侶と変わらない修行をされてきたんだと、納得。

 その滝田さんがなぜ奈良に滞在かというと、5日の薬師寺の「玄奘三蔵会大祭伎楽法要」で玄奘三蔵の役を演じるためだったのだ。

 「是非、5日の伎楽を見に来てください。」とお誘いいただき、喜んで、と5日にヒロコと訪れる。

 滝田さんのまさに迫真の「演技」で玄奘三蔵の苦悩と、悟りが表現される。

 松久保伽秀(かしゅう)録事の声明との一体感が素晴らしい。

 薬師寺の玄奘三蔵院伽藍での伎楽の舞いは、夕闇迫る中、華やかにそして厳かに行われた。

 闇に包まれた薬師寺で、奈良を住まいとすることの喜びを感じながら、滝田夫妻と東京での再会を約して別れた。

滝田夫妻