消費税転嫁対策の修正

2013年5月17日 (金) ─

 昨日、消費税転嫁対策法案に関する質疑に立った。

 経産、財金、内閣、消費者特の連合審査。審議もいよいよ大詰め。

1.法案の問題点
 消費税転嫁対策法案は、民主政権時に準備していた法案がベースだ。消費税率引き上げ時に、大手販売店が納入業者に対して買いたたきを行うこと等を規制するもの。

 立場の弱い中小の納入業者等に消費増税のしわ寄せがいかないよう、買いたたき等を規制すること自体は当然必要な措置だ。しかし、自民党政権下で新たに加えられた「消費税還元セールの禁止」については、問題が多い。

 法案では、「消費税は頂きません」といった直接的な表現だけでなく、「消費税相当分値引きします」や「消費税相当分、ポイントを付与します」などの表示も禁止対象としている。

 また、当初、政府は、「3%値下げ」等の消費税の文字が入っていない表示や「春の生活応援セール」等も場合によっては規制され得ることを示唆していた。

 前にも書いたが、消費税還元セールについては、97年の消費税5%への引き上げ後、消費が冷え込む中、98年11月にイトーヨーカ堂などの大手スーパーが一斉に行い、売上高が前年同期比3~6割増と大幅な伸びを示した。

 消費税引き上げに伴い、小売店としては、売り上げ減を防ぐために必死に販売促進を考えるのは当然である。それだけに、政府としては、ガイドライン等ならまだしも、法律を用いてセール手法を禁止することには慎重であるべきだ。

2.消費税還元セール禁止の趣旨
 消費税還元セールを禁止する趣旨は、政府答弁によると、
(1)消費者に消費税を負担していないかのような誤認を生じさせるおそれ、
(2)大手スーパー周辺の商店街が追従して値引きをせざるを得なくなるおそれ、
(3)納入業者に対する買いたたきを誘発するおそれ、
を防止する、の三点だ。

 しかし、上の(2)(3)については、98年に消費税還元セールが行われた際、周辺の商店街の売上が下がった、あるいは、納入業者への買いたたきが行われ納入業者の売上が下がった等のデータはない。政府は根拠なきまま推測の上で規制を行なおうとしているのだ。また、実際、商店街を歩いて意見を聞いてみると、法律によってセール手法を禁止することについては否定的な意見が多く聞かれる。僕の事務所でも、連休中に戸越銀座を歩いて訊ねまわった。忙しい中、丁寧に答えてくれた商店主もいたし、もちろん煙たがられたりもしたが、本音を聞けた。

 昨日の質疑では、上記の点を確認し、消費税還元セールを禁止する趣旨は、上記(1)の「消費者に誤認を生じさせるおそれ」のみということを明らかにした。

3.法案の修正提言
 本来自由であるはずの企業の営業活動を縛る以上、規制は、可能な限り必要最小限であるべきだ。質疑では、法案の趣旨と規制との関係や、規制の必要性・合理性を基礎づける客観的事実の有無を一つ一つ確認した上で、規制を限定するための法案修正を提言した。

 具体的には、「3%値引きセール」等、消費税との関連性が明らかでない場合、さらに、消費者に消費税を負担していないと誤認させない場合は規制対象とはならない旨の修正だ。提案型の質問を行ったが、今日までの審議でさすがに与党も法案の修正については譲歩せざるを得ないとして、先ほど経産委員会で修正可決した。

 今から本会議で緊急上程で決議されるが、このように真の消費者の立場に立たない、「消費税」という文言が「還元セール」によって悪者にされると勝手に恐れる当局の口車に乗って作られたような条文は、本来削除すべきだと思っている。

 しかし、野党の立場でも、このように政治を動かすことをコツコツと重ねていく。

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