新直轄の効果

2007年12月1日 (土) ─

 週末、日帰りで秋田。

 秋田県は、全国で初めて「新直轄方式」による自動車専用道路を建設し、無料のいわゆる「高速道路」を建設した自治体である。

 秋田1区選出の寺田学代議士に労をとっていただき、「日本列島快走論」で高速道路無料化政策を訴えてきた山崎養世氏と共に現地視察。

 秋田県は市町村間距離は21.6Kmと全国1位、面積は東京、千葉、埼玉の合計より広い。また自動車保有率は東京都の2倍、全国平均を2割も上回る。自ずと道路交通への依存度は97%(全国平均72%)と極めて高い状況がある。

 秋田県にとっては、高速道路が自立・発展のツールとして欠かせないものとの認識がある。

 旧道路公団の民営化に伴い新会社での整備・管理が困難と位置づけられた区間に対し、秋田県は引き続き高速道路を整備促進するために新直轄方式を採用した。

 かつては高速道路は道路公団が整備しており、一般国道の自動車専用道路を除き国が整備することはほとんどなかった。道路公団の民営化後も必要な高速道路を建設するため、民営化後の新会社による整備の補完措置として、国が高速道路を整備するために導入された制度が新直轄制度。

 事業費の3/4を国が負担(直轄国道の場合は2/3)するとともに、自動車重量税の地方譲与分を重点配分することにより、地方公共団体の負担を実質ゼロとする。これにより道路公団が料金収入で高速道路を建設する場合と同様に、地方公共団体の負担なく高速道路を建設できる。

 秋田県の新直轄道路建設は、多くの恩恵を地元に与えていた。

 にかほ市にあるTDK平沢工場での従業員の通勤時間は半減し、物流の時短による生産効率の上昇あるいは新インターチェンジ予定地周辺の更なる工場新設など、地元企業にとっては雇用促進も含め大きなインパクトを地元に与えているとの話を小幡広報課長からお聞きする。

 さらに、にかほ市消防本部においてはカバーエリア内の高速道路化が少ないにもかかわらず確実に救急搬送の時短が図られており、将来的に新たな簡易インターチェンジが設置されれば、時短は4割にも及ぶという。

 新直轄による無料の高速道路と有料の境目となる岩城インターチェンジで観測してみるとほとんどの車が下りていく。

 車は、有料の高い高速道路は走らない。無料の恩恵は生活を圧倒的に変化させている現実と、有料への庶民の抵抗感とのギャップを痛切に感じる。

 ふと、インター脇の空き地を見ると、かつてあった料金徴収ブースが捨てられていた。無料化により必要なくなったブースが残骸となって放置されている。

 この国の、おかしな構図の象徴のような風景にしばし立ち止まる。

 高速道の無料開放、これはこの国の生活を一変させる大きな政策である。寺田秋田県知事(寺田学代議士の実父!!)の英断により秋田は変わりつつある。

 来年の通常国会での大きな論点として道路特定財源問題を取り上げようと日夜現場を調査して回っているが、この現実には抗しがたい説得力がある。

 この国にも、今、大きな決断が求められている。

新直轄の効果