基本的質疑初日

2006年10月6日 (金) ─

 昨日は、朝の8時15分から予算委員の打ち合わせ。臨時国会での予算委員会での戦い方の説明を枝野筆頭から受ける。

 2日半の尺の中で、基本的質疑2日と、残りの半日は安倍総理が急遽決定された訪中・訪韓を受けての「外交に関する集中審議」となった。したがって、国対マターとして「外交集中審議」にふさわしいバッターを立てるとのことである。

 今国会では、出番はなさそうだナ。

 朝から自民党のバッター。中川昭一政調会長をはじめに斉藤斗
志二、森英介、石原伸晃幹事長代理と続く。

 個々の質疑についてはもはや、コメントの必要はないだろう。新聞、テレビのマスコミの論評は与党寄りかもしれないが、ご覧になった視聴者が一番おわかりではないか。

 続いて公明党は、北側一雄幹事長、斉藤鉄夫政調会長、赤松正雄。

 そしてやっと、菅代表代行の出番。冒頭より、歴史認識の問題に切り込んでいく。

 チョット、言葉が乗っていかないのが気がかりだが、安倍総理の前言の翻しが明らかになる。しかし、アッサリ総理が前言を撤回するものだから、菅さんも突っ込み損ねた感じ。

 質疑というのは、本当に難しい。気負いこんでいくと肩透かしを食ったり、思わぬところで相手が自らつまずいてこけたりと予測不能のところがある。ある意味生ものだ。

 菅さんは、歴史認識について「従軍慰安婦問題」の河野官房長官談話と「植民地支配と侵略戦争」に言及する村山総理談話の踏襲の確認、さらに総理の祖父の岸総理の日米開戦詔書への署名への評価を問う。

 安倍総理は、内閣の双方談話いずれも総理として受け継いでいると述べ、日米開戦については敗戦の結果は祖父も含めて大きな責任があったと答えた。

 そして、菅さんは総理が歴史教科書問題について「自虐視感でおかしい」とかつて語ってきたことを取り上げ、先の総理という立場としての歴史認識の翻意はおかしいのではないか?、と重ねて質した。しかし、これも自分の考え方と総理として守るべき認識は違うと答え、そのような態度も含めて国民が判断することと語った。

 個人の考えと総理としての判断行動は、当然異なる。その意味で安倍総理もその認識に立っていることを確認できたことは意味がある。

 そしてアッサリ前言を翻して、そのような態度も含めて国民が支持すれば良いのだ、という考えを露にしたというこの点も着目すべきだ。

 つまり、国民が納得する、大衆支持があれば総理としての行動もある程度範囲を持って許容されるという、「小泉主義」ともいえる行動規範が安倍総理においてさらに拡大解釈されていると考えられるのだ。

 質疑として、国民の賛意・同意を引き出すことができたかどうかは、難しかったかもしれないが、安倍総理という人を浮き彫りにはできたと思う。

 しかし、大衆支持があれば何でもできるという「小泉主義」は、実質的な首相公選を現しているとも言えなくない。安倍総理がこのことに十分気がつき、そしてそのことを武器にかかってくるとすると、相当に手ごわい相手になりかねないことを肝に銘じた瞬間でもあった。

 後で、記者からホントかどうかわからないが次のような総理と側近の会話を聞いた。

 「俺の強みがわかった!。それは、相手に舐められることだ!」

基本的質疑初日