国交省11階特別会議室

2008年11月26日 (水) ─

 午前10時、社会資本整備審議会道路分科会第26回基本政策部会が開かれた。長ったらしい名前だが、要は僕が予算委員会で指摘した「需要推計」の見直しが発表される会議。

 昨日、道路経済調査室を呼んで話を聞こうとしたが手ぶらで来て「お答えできません」の一点張りで一切の経過報告をしようとしない。行政側が、ここまで国会に対しすっとぼけるなら説明できない法的根拠を示せと迫ったけど、考えたらこの人たちも上からの命令で動いてるだけだしな、と気の毒にもなる。

 そこで、今日の会議に僕は傍聴として出席してきた。

 国土交通省11階特別会議室。受付で、「アッ!?」という顔されたが関係ない。

 2時間の会議が始まった。将来交通需要推計、道路事業評価手法の見直し、新たな中期計画の作成に向けて、高規格幹線道路の事業実施に向けた手続きのあり方について説明が続き質疑が行われる。委員からの、目を惹くような新たな指摘はない。

 今回の社会資本整備審議会における報告は極めて大きな意味を持つ。

 将来需要推計が大きく減じられる結果となった。昨年、中期計画で示された59兆円がまさに水増しだったことを自ら露呈した結果となった。さらに、事業評価の見直しも加わり、「現行のB/Cは2~3割程度小さくなる」と報告された。

 昨年の中期計画における187路線に上る高規格幹線道路の点検結果で単純シミュレーションしてみても、実に5兆9千億円の事業費が削減されることになる。まさに道路族によって伏魔殿と化していた道路行政が、今年2月15日の予算委員会質疑によって突き崩されだした瞬間だ。山が動いた。

 しかし、道路族だか官僚だか、どちらの抵抗かわからないがさらにすごい仕掛けが待っていた。

 需要推計の下落を受けて、中期計画をどのような規模にするかについては「社会資本整備重点計画と一体化」するという名目で数値は出さないことになった。

 何だ!?

 水増しの予算額(59兆円等)を出してきたときはそれによって予算を硬直化させてやりたい放題しようとしたのに、減額の方向になったとたんに数値を出さない!?

 あきれてモノが言えない。

 そしてさらに驚くべきは、真に必要な道路か否かの「社会基盤施設の効果のうち計算に乗らない部分」は、「国民の代表者が政策判断すべき」となっている。

 何?、減額の方向も一切定めず、政治家に判断させる方向に持っていくのか?、道路族が泣いて喜ぶぞ。

 国交省の道路経済調査室の、ある意味あきらめに近いかもしれない「将来需要推計」は一定の評価をすべきものだった。

 しかし、そのあとの中期計画の作成に向けての骨子がまずい。道路族は技術的なところはあきらめて、「政策判断」に逃げ込もうとしているのか。

 戻ってきてから、早速テレビ取材3本に新聞2本。

 本当に戦闘が始まった。

国交省11階特別会議室