似て非なるもの

2008年10月31日 (金) ─

 昨晩の麻生総理が記者会見で表明した追加経済対策にはがっかりした。

 結局、4人家族で6万円の給付金で決着したようだが総額2兆円の財政措置は、かつての地域振興券の失敗をなんら省みることないばら撒き政策となった。

 小渕政権時代の地域振興券による個人消費の上昇は1割にも満たなかった。今回も景気の悪化予想を受けておそらく現金給付は貯蓄や日常生活消耗品に費やされ、所得の代替財として消えていく。消費の底上げには寄与しないと想像される。地元の与党議員でさえ「上で独断で決めていくのでどうなるかよくわからない」と、天皇・皇后両陛下の御奉迎の控え室で話していた。こうなると、任期満了までやりたい放題の体か。

 加えて、高速道路の大幅値下げはひどすぎる。

 一見、民主党の高速道路無料開放に近いような気がするが、内容は全く違う。ETC搭載車の乗用車のみ一律千円ということで、貨物は適用除外される。本来なら高速道路の無料開放は、物流コストの革命的削減により物価に影響を及ぼすことになる。

 かつて、業界団体の意見として「全物流コストの12%削減」推定値を聞いた。ガソリン税よりもはるかにインパクトのある数字である。事実、月当りの経費ではガソリン税の5倍からのコスト低減となることを大手物流経営者からも聞いている。間違いなく、高速道路の無料開放は生活コストの削減に結びつく。しかし、今回の追加経済対策にその意図はない。

 なぜか?。

 実はまたしても、完全に官僚にしてやられているとしか考えられない。

 国交省の思惑通り、引き続きETC搭載促進をその天下り団体である(財)道路システム高度化推進機構(Organization for Road System Enhancement:ORSE略称オルセ)に行わせるためのETC限定を付与し、もっとも物流コストに影響する貨物を排除。

 また、全線において料金徴収を前提とするために民営化と称して実質の国有化固定を図った旧道路公団(現在は東・中・西の各道路会社)の組織を温存する構図を示してきた。これは、民主党の政策と全く非なるものである。

 われわれが主張してきたのは、特定財源の一般財源化によってその財源の一部を高速道路建設の借金返済に振り向ける政策決定をすることによって、すべての高速道路の料金徴収の法的根拠は消失し高速道路は無料になると言ってきたのである。すなわち、全国の旧道路公団・民営化会社が一切不要になる、天下りの組織がなくなることを意味してきたのである。われわれの言ってきたのは、生活コストの革命的低減と天下りの根絶なのである。

 一見、似ているように見えるのでマスコミはこぞって民主党の政策との違いはほとんどないかのように唱えているが、これはとんでもない。まさに似て非なるものなのである。

 まだまだ、とんでもない!と思うところはあるが、今日も朝から各省の連絡室、国会図書館や調査局に資料の要求とレク要求を断続的に入れる。予算委員会で徹底審議だ。

 総理は解散については明確なことは何も語らなかった。当たり前だ。伸ばした今、明確にするわけがない。自らを縛る発言をこのタイミングでするわけない。解散要求を念仏のように唱えるのは、まぁいいとするが、本当は予算委員会の開催要求であり予算委員会の準備しかない。いつも言ってるように徹底審議しかない。

 似て非なるものを、国民の前で明らかにする。

似て非なるもの