ストレステスト

2011年7月7日 (木) ─

 ストレステストとは、想定外力を上げる、又は想定事象を与えることによってどのようなリスクが存在するのかを明らかにするものである。

 そして、その目的は、今の基準がどのくらい余裕度をもっているかどうかを数値でで示すことで「住民の安心感をより高めるため」(政府発表)とするものである。 例えば、地震の加速度を段階的に上げる、津波の高さを段階的に上げる、無電力状態を想定するなど。

 しかし、ストレステストをすべての原発で行うからイコール安全ということではない。

 まず、与えるストレスの妥当性が問われる。あくまで与えるストレス自身も、人が(場合によっては意図的に)想定したものなので、想定外は永遠に存在する。与えるストレスの客観性・中立性がポイントとなる。

 次に基準の妥当性。

 想定外力を上げて、リスクが明らかになったとしても、基準を変えない限り、安全性が向上されるわけではない。保安院は、ストレステストは実施するが、安全基準は変えない、といっている。これでは何の意味もない。

 そして余裕度の意味。

 実際に物理的な実証を行うわけではなく、あくまで机上のシミュレーションであるため、使うモデルの妥当性・誤差や老朽化など考慮できない要因は排除できない。今の安全基準により安全性を評価する場合は、これらの不確実性を考慮した上で一定の安全率を見込んでいる。この安全率を、余裕度におきかえることは、その結果自身が不確実性を持つことになる。

 行うべきは何か。福島第一の検証による反省を客観的に行うこと以外にない。

 そしてそれは、改めるべき点のある基準は改めるということ。それに基づいた必要な安全対策をきちんと行うこと。このこと以外にない。

 これらを行わず、シミュレーションというのは後先が逆である。

ストレステスト