まちかど正倉院展

2006年10月31日 (火) ─

 10月24日から、「第58回奈良正倉院展」が開かれている。今年から、読売に変わって東京駅などでも大々的に宣伝してることもあってか、人手は例年になく多い。ありがたいことだ。

 さて、そんな正倉院展で沸く奈良の町であるが、そこに集う観光客に少しでも奈良の町を歩きながら滞留していただこうと奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合奈良支部では、お宿博物館「まちかど正倉院」事業を立ち上げた。

 昨年でも23.5万人の観光客が国立博物館を訪れているのだが、その後は大阪、京都に宿泊という現状がある。少しでも奈良に留まっていただくために何かできないかと知恵を絞った旅館組合の皆さん。

 そこで、古くからの旅館やホテルに残る、美術品や工芸品あるいは往時の懐かしい写真などを含めて、正倉院御物のような天平時代の宝物とは違うが、庶民の身近な宝物ということで「まちかど正倉院」と銘打って展示しご覧いただこうこうと試みになった。

 宿泊してはいないが旅館やホテルのロビーなどの展示を巡回して見ていただくもよし、そのうちに喫茶やみやげ物に目を向けていただけるかもしれないし、それこそ宿泊機会につながっていくかもしれないと、「おもてなし」の心での取り組み。

 全部は無理だったが、それぞれのお宿を訪ねて、「お宝」を拝見する。

 奈良の人間は、さすがに奈良の旅館・ホテルには泊まる機会は少ない。正直、自分も泊まったことは一度もない。初めて入ってみた旅館などもあり、そしてそこにある「書」や「写真」や「仏像」やと改めてみると興味をそそられるものがいっぱいである。

 楽しく、まちかどを回らしていただいた。

 それにしても、子どものころの記憶の片隅にあった「尾花劇場」が、今の「ホテルサンルート奈良」になっているとは夢にも思わなかった。有楽劇場に尾花劇場。母に手を引かれて奈良の町を歩いた幼子の時代が写真でよみがえった。

 チャーミングな専務さんの宿、と思ってたけど、懐かしい場所であった発見は、ちょっとした喜びだった。

まちかど正倉院展