「しっかり対応」と言って8ヶ月

2007年1月25日 (木) ─

 「偽装」:他人の目をごまかすための装いや行動。

 これが、また明らかになった。

 京都のアパグループのホテルで耐震強度偽装が確認された。

 国交省は、偽装を「設計者本人が偽装を認め、その事実が確認された場合」、「本人が認めていない場合でも、計算過程で明らかに意図的な差し替えを行っていることが確認された場合」、「本人が認めていない場合でも、意図的な差し替えを行わなければ得られないような出力結果が確認された場合」と定義している。

 そして、いずれの場合も確認するのは「特定行政庁」すなわち都道府県や市町村である。

 アパグループの建物の耐震偽装は、既に私は昨年の6月7日に国土交通委員会で指摘している。埼玉のマンション物件にて構造設計担当の田村水落設計が、計算書の差し替えを行ったことについて、住宅局長に「適法か?、適切か?」と質したところ、局長からは「言語道断で、法律に違反するもの」との答弁を、北側大臣からも「あってはならないこと」との答弁を得ている。さらに「偽装か?」との問いには、局長は「明らかになった時点で判断すべきもの」と明言を避けたが、田村水落設計の違法行為はこの時点で国会で明らかとなった。

 ところがである。ここからが問題なのである。

 国交省は、「偽装」は「特定行政庁」が判断するものとして、その後は6月23日に田村水落設計の物件のサンプリングを抽出を行いその調査を特定行政庁に命じているに留まるのである。

 局長や大臣の答弁にあるように、差し替え等を行う行為は明らかに建築士法違反の行為である。このことについては行政処分は行わずに、まず特定行政庁に調査を命じた。

 いわく、「建築士法違反だと行政処分はせいぜい1ヶ月程度の業務停止命令でしかない。偽装となればもっと重い処分を課すことができるが「一つの設計行為」には二度の処分はできないという行政手続きの制約があるため、偽装の有無の調査を待っていたと言うのである。

 そして、私が指摘してからまもなく8ヶ月になろうとしている。ようやく、京都市が判断したから国交省も発表した、とのこと。

 これって、あまりに国民感覚からずれてはいまいか!?。

 違法行為者であるが、もっと罰則の重い違法行為があるかもしれないのでそれを明らかにしてから処分する。だから、指摘されてから8ヶ月近く、いや発覚したのは去年の3月だからもう一年近くの時間を費やさせた。

 この間、新たな設計行為がなされていないから被害が拡大する心配はない、との言い分もあるようだがこれでは所管官庁としての責任や大臣のリーダーシップというものは皆無との批判に耐えられるだろうか。

 正直、あまりの時間のかかり方に唖然としている。国会で質し、実態解明についても当時の北側大臣より「この問題にしっかり対応するようにさせていただきたいと思います。」の答弁を得ても、ダラダラとやっていると言っても過言ではない状況を見ると、もはや役所には当事者意識がないと言わざるを得ない。

 アパグループについても、記者会見を見て驚いた。

 私が6月7日の質問を行おうとしたときに、突然、元谷会長から呼び出され6月3日にアパ本社へ向かった。1時間半にわたって語る元谷会長の言葉ははっきり覚えている。会見との食い違いは何なんだろう。

 またしても、国会で詰めていかねばなるまい。

「しっかり対応」と言って8ヶ月